ヘルシーな知識

【旬の食材シリーズ:冬】煮物におすすめ、ホクホク食感の縁起物ゆり根(北海道)

ゆり根は、名前の通り「ゆり」の根のあたり、鱗茎(りんけい)部分のことを言います。

鱗茎というのは地下茎の一種で、茎の周りに養分を蓄えた葉が多肉となり、球形を形作っているものです。ゆり根の場合は白い肉厚な鱗片が幾重にも重なった形が特徴的ですね。

食用とされるゆり根の種類は限られており、現在では「オニユリ」「コオニユリ」「ヤマユリ」など苦味の少ないものが主に栽培されています。世界でもゆり根を食べるのは日本、中国など限られた国だけのようですよ。

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ゆり根の特徴

日本では98%と、そのほとんどが北海道で生産されているゆり根ですが、主要な出荷先は関西。京料理でよく見られるゆり根は、実は北海道産のものが多いんですね。

ゆり根は、タネ球を育てるのに3年、植え付けから収穫まででさらに3年と、栽培には非常に時間がかかります。栽培時期は4月~9月で秋から収穫作業が始まり、出荷のピークは12月です。出荷の際は、傷つきやすいためおがくずの中に入れられ、保護されます。

ゆり根の畑では、ゆり根に栄養がいくように、ゆりの花は蕾の間に摘み取られてしまうので、年間を通して花が咲くことはありません。また、一度ゆり根を栽培した畑はその後7年以上休ませなければならず、広い場所がなければ毎年生産することは困難です。

想像以上に手間ひまがかかるゆり根ですが、大事に育てられただけあって栄養分は非常に豊富です。たんぱく質は何とじゃがいもの2倍以上。糖質も多く、滋養強壮に効果があるため、喘息を和らげる効果が期待できます。他には鉄やリン、カルシウム、カリウムなども豊富です。特にカリウムの含有量は他のあらゆる野菜と比べても非常に多く、高血圧予防やむくみ防止効果が期待できます。また、食物繊維も豊富なため、整腸作用にも良いと言われています。

ちなみにゆり根はストレスによる不定愁訴や不安感、不眠などを改善する効果があると言われており、中国では昔からノイローゼや精神の病に使われていたようですね。

ゆり根の歴史


ゆり根はもともと日本や中国で自生していたと言われており、中国では漢方としても広く利用されてきました。

日本では江戸時代から食用の記録があり、明治時代には栽培面積も増えていったとのこと。北海道で本格的に栽培が始まったのは大正時代からです。和田伊三郎という人物により本州から持ち込まれたのが最初とされており、元は本州で自生していたものが北海道の気候とマッチし、結果として主要な産地に成長した、ということのようですね。

縁起物の食材、ゆり根

ゆり根と聞くと、お正月を思い出す日本人は多いのではないでしょうか?お正月のおせち料理の食材のイメージが多いゆり根、そもそも何故おせち料理で良く使われるのかご存じでしたか?

ゆり根は、鱗茎がいくつも重なっています。この「鱗茎が重なる」姿が「年を重ねる」ことに通じると縁起を担いで、ハレの日であるお正月に食されるようになったのです。

そしてこの鱗茎が重なり合う姿が和合、つまり仲良く調和して過ごしていくことに通じるとされており、吉祥の象徴ともみなされています。また、ゆり根は古くから滋養強壮や咳止めなど、薬用としての効果も信じられており、ここから「無病息災」「子孫繁栄」といった祈りも込められていると言われています。

ちなみに、ゆりの霊力は天上の扉を開く、と古くから信じられていました。ゆりの古名は佐韋(さい)や三枝(さいぐさ)と言い、三途の川の河原である「賽(さい)の河原」の「さい」と同じ意味と考えられていたのです。

ゆり根の美味しい食べ方


ゆり根は火を通すとホクホクとした食感を楽しめ、煮物に入れたり蒸し物に入れたりするのがおすすめです。蒸し物で言うと、茶わん蒸しには良く使われますよね。

また、天ぷらにすると衣のサクサクとゆり根のホクホクが合わさり、とても美味しくいただけますよ。ホクホク感がじゃがいもと似ているため、普段じゃがいもを使って作っていたレシピをゆり根にして作ってみても良いかもしれません。

家庭で料亭の味を楽しみたいなら、ゆり根饅頭にチャレンジしてみてください。蒸したゆり根を潰し、葛粉や片栗粉を混ぜ、椎茸昆布の精進出汁、醤油、塩などで味つけをし、そこに椎茸や人参などを混ぜて蒸すか、湯葉でくるんで揚げるだけ。最後に餡かけ出汁をかければお客様向けの料理としても最高ですね。

お正月や京料理でしかあまり目にすることがないゆり根ですが、栄養素も豊富で何にでも合う食感をもっと気軽に味わってもらえるようになると良いですね。

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奥田彩(Aya Okuda)

奥田彩(Aya Okuda)

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Vegewel Style編集長
フードコーディネーター
食育インストラクター
食空間コーディネーター
フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。

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