日本が誇る発酵調味料「味噌」の魅力。

更新日:2022/10/20 公開日:2019/01/25

日本人の食卓に欠かせない味噌汁。

一口飲めば、ほどよい塩加減の汁がじわっと身体に染み渡り、ほうっと幸せな溜息が出てきます。

地域や家庭毎に定番の具があり、バラエティ豊富なのも面白い。

そんな味噌汁の材料は、もちろん「味噌」。

味噌といえば、どの家庭にも常備されている定番調味料ですが、当たり前に存在しすぎて、実際どんなものか、あまり考えたことがない方も多いのではないでしょうか。

今回は、日本人なら知っておきたい、味噌のアレコレを詳しくご紹介していきます!

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味噌とは?


味噌は、大豆に塩・麹を加えて発酵・熟成させた、日本伝統の調味料です。

その種類は、米麹を使った「米味噌」、麦麹を使った「麦味噌」、豆麹と塩だけで作った「豆味噌」、これらをブレンドした「調合味噌」と、大きく4つに分けられます。

今、日本で最も多く生産されているのは米味噌。その生産量は全体の8割にものぼります。

また、味噌には甘口・辛口といった味の違いや、白味噌・赤味噌といった色の違いがあります。味は麹や塩の配合割合で、色は発酵・熟成の期間や温度など、様々な条件によって変わります。

味噌のルーツは、古代中国から伝わった「醤(ジャン・ひしお)」や「豉(チー・くき)」というのが有力な説です。醤は、つぶした肉や魚を塩・酒などと混ぜて熟成させ、豉は大豆や塩などを発酵させたもの。

ちなみに、味噌汁が飲まれるようになったのは、鎌倉時代から。鎌倉時代の武士は、「一汁一菜」の食事が基本でした。

しかし、鎌倉時代の味噌汁の味噌は、大豆の粒が残ったままで、どちらかというとたんぱく源の食べ物、という側面が強かったとも言われています。

今のような汁物としての要素が強い味噌汁が広まったのは、室町時代。この頃から、庶民の間でも味噌汁を飲むことが定着していきました。

【参考】
マルコメ「味噌とは」
https://www.marukome.co.jp/miso/

マルコメ「味噌の発祥と歴史」
https://www.marukome.co.jp/miso/history/

知っておきたい!味噌の作り方。


味噌の製造方法は以下。市販されている味噌も、家庭で手作りする味噌も、基本はほとんど変わらない作り方です。

大豆を洗い、一晩水に漬けておき、水切りした後に蒸していきます(または煮る)。

手でつぶせるような柔らかさになったら、熱いうちに細かくつぶし、麹と塩・煮汁を加えて良く混ぜます。

それを、保存容器に空気が入らないように隙間なく詰めていき、密閉し重石を乗せて発酵・熟成させていきます。

深い味わいがあり、色々なものが混ざっていそうな味噌ですが、材料も作り方も意外とシンプルですよね。

最近では、市販の味噌でも様々な種類のものが簡単に手に入るようになってきました。

粒が少なく滑らかなものや、敢えて粒を残した食べごたえのあるもの、味噌に出汁を混ぜたものや、他の食材を混ぜたものなど、用途によって使い分けしてみるのもおすすめです。

また、昔のように、自宅で味噌を手作りする人も増加傾向に。

自分の手で味噌を仕込むと、手に付いている「常在菌」が味噌に混ぜ込まれるため、自分にしか出せない味が生まれます。

今は、品質の良い米麹も手に入りやすく、比較的気軽に味噌作りを始めることができるのでは?

一生懸命仕込んで、数ヵ月後に育った味噌を食べるのは、とても楽しいものですよ!

【参考】
マルコメ「味噌を手作りしてみよう!」
https://www.marukome.co.jp/miso/handmade/

マルコメ「プラス糀 甘酒用 国産米 米こうじ」
https://www.marukome.co.jp/product/detail/koji_061/

発酵ってすごい!味噌のうま味について。


味噌の複雑な味わいは、発酵・熟成の過程で生まれます。

発酵とは、外から加えられた酵母や細菌・カビなどの微生物によって食べ物の成分が分解され、「有益に」変化すること。それに対し、熟成は、食べ物自体にある酵素により成分が分解されることを言います。

発酵・熟成が進むと、その食べ物にもともと存在していなかった新たな栄養成分やうま味などが加わり、保存性が増します。

発酵食品が健康に効果的だと言われるのはこのためです。

一方、同じく微生物によって食べ物が変化するものの、悪臭を放ったり有害な成分に変化することを「腐敗」と言います。

合わせて読みたい!発酵とは?
今さら聞けない、発酵って何?

発酵・熟成を経た味噌には、様々な成分が含まれています。

中でも、その深い味わいに大きく関係する成分が、「グルタミン酸」。

味噌が発酵する過程で、麹に含まれる酵素が大豆のたんぱく質をアミノ酸に分解していきます。ここで生まれるアミノ酸が、グルタミン酸です。

グルタミン酸は、いわゆる「うま味」成分。味噌自体の味を大きく左右するのはもちろん、合わせる食材を引き立てるのにも一役買ってくれる重要な存在なのです。

味噌はもちろん、醤油や酢・みりん・酒など、日本で使われる調味料の多くは発酵・熟成を経て作られています。

どれも一言では表せない、唯一無二の存在感を放つ調味料。素材の味を生かしたシンプルな和食に欠かせないのも頷けますね。

地域で違う!日本各地のさまざまな味噌。


味噌と一言で言っても、その種類は実に様々。

使用する麹によっても出来上がりが違いますし、原料の配合・製造過程などによっても色や味わいが変わってきます。

日本列島は縦に長く、昔から地域ごとに特徴的な味噌が作られてきました。その一部をご紹介します。

米味噌
米味噌は、辛口・甘口・甘みそと味の違いがあるのに加え、色も赤色・淡色・白色とバリエーションが豊富です。

赤色・辛口なのが、北海道味噌・秋田味噌・津軽味噌・仙台味噌・会津味噌・越後味噌・加賀味噌など。気温が低い北の地域は赤色・辛口が多い傾向にありますね。

赤色・甘みそのもので代表的なのは、江戸甘味噌。東京で作られており、米麹を多めに使用しているのが特徴です。

淡色・辛口の味噌は、全国各地で広く作られています。特に有名なのが長野県で多く作られている信州味噌。少し酸味があり、香り高いのが特徴です。

白色の味噌といえば、甘みそ。よく知られているのが、讃岐味噌や関西白味噌です。白味噌は、赤味噌と比べると、南の地域に多い傾向があります。

麦味噌
麦味噌の主な産地は、九州・四国・中国地方など、暖かい地域。瀬戸内味噌・九州麦味噌などが有名です。

瀬戸内味噌も九州麦味噌も甘口で色は薄めです。温暖な地域で作られる味噌は、熟成期間が短いため、甘口のものが多いようです。

豆味噌
豆味噌の主な産地は中京地方。八丁味噌・名古屋味噌・三河味噌・三州味噌などを総称して、東海豆味噌と呼んでいます。
味は濃厚で、色は黒っぽく濃いめです。渋み・苦味があるのも特徴。

【参考】
マルコメ「味噌の種類と地域性」
https://www.marukome.co.jp/miso/type/

上記の中でも、日本の生産消費量の約4割を占めるのが、信州味噌です。

次回は、日本の信州味噌といえばこのメーカー!マルコメ株式会社が長野県で運営する、見学・体験型の味噌蔵についてご紹介していきます。

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AYA OKUDA

AYA OKUDA

フードコーディネーター
食育インストラクター
食空間コーディネーター
フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。
得意分野は、日本の伝統行事食、食の日本史・世界史、テーブルコーディネート。
好きな分野は、カレー、ビール。