冬に備えて免疫力アップ。晩秋「寒露」の時期が旬の食材、きのこと根菜の効能とは?

公開日:2019/10/08

秋は「実りの秋」「食欲の秋」ともいわれている通り、日本人の主食である米がたわわに実り、新米の美味しい季節。

そして一年の中でも特に食材が豊富なのは、過ぎし夏の疲れを癒し、来たる冬の厳しい寒さに備える為の、自然の采配のように思われます。

そんな秋の豊かな食材から、「きのこ」と「根菜」を取り上げてみました。

行く秋 季節は「寒露」へ


あんなに暑かった夏は何処へ行ってしまったのでしょうか。

季節は足早に過ぎ、はや秋のフィナーレ「晩秋」へ。二十四節気は「寒露(かんろ)」へと進み、その文字通り秋というよりは冬を感じさせる様な日もあり、温かいものが美味しい季節になりましたね。

10月8日〜23日頃のこの寒露という節季には「鴻雁来(こうがんきたる)」、「菊花開(きくのはなひらく)、「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」という、三つの「七十二候」が含まれております。

越冬の為に大陸から渡り鳥が飛来する頃、今を盛りと咲いた菊の花の芳しい香が辺りに揺蕩い、秋の虫が戸口に身を寄せて弱々しく鳴き、短い命に別れを告げる。

季節は冬へ冬へと進んでゆき、ちょっぴり物悲しさを感じる「寒露」はそんな時季なのです。

季節によって異なる病の種類


実は季節によって、病の種類が異なる事をご存知でしょうか?

「春 」心病 鬱やアレルギー
「夏」疫病 お腹や胃腸
「秋」痢病 熱やウイルスによる病
「冬」黄病 冷えによる病

それに対して、その時期に合わせたかのように旬を迎える食材は、正に自然のサプリメント。これこそ「医食同源」といわれる由縁ではないでしょうか。

秋の病「痢病」に対して必要なものは免疫力。

夏の疲れを回復させて、寒い冬を健康に過ごす為の体力も必要です。

そこで今回は、秋の豊富な食材の中から、その栄養素を有効に摂り入れられる美味しい一品のご紹介と共に、「きのこ」と「根菜」にスポットを当ててみたいと思います。

きのこの効能


栄養バランスの合言葉「ま(豆類)ご(種実類)わ(海藻類)や(野菜)さ(魚)し(きのこ類)い(イモ類)」にも漏れなく入っている「きのこ」。一年中食事に取り入れたい食材の一つですが、きのこの旬は今です。

松茸や椎茸・しめじ・えのきだけ・なめこ・舞茸・エリンギなどに代表されるきのこには多くの種類があります。現在は、30種類ほどのきのこが市場に出回っているそうです。

そして、そのどれもが正常な免疫機能を高めるビタミンB群やDを多く含み、ミネラルも豊富。免疫力が高まると、癌細胞の抑制や感染症に対する予防などに効果的です。

また、繊維質もたっぷり含まれていてカロリーも低い為、通便やダイエットにも効果を期待することができます。

また、椎茸やしめじはカルシウムの吸収、えのきだけは疲労回復、舞茸は免疫力アップ、エリンギは便秘やむくみに等々、きのこによって得意ジャンルが其々違うので、何種類かを一緒に頂くと更に効果的。

きのこの調理のポイントは、加熱しすぎないこと。香りや歯ごたえが楽しめると同時に、有効成分を余すことなく取り入れることができます。

豆腐などの他の食材と合わせて、スープごとまるっと頂ける「きのこ鍋」や、香りを楽しむ「きのこご飯」、常備菜に「きのこのマリネ」等が、我が家のお薦めメニューです。旬のきのこ、この時期にたっぷり頂きたいですね。

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根菜類の効能

繊維質の豊富な「牛蒡」、独特な滑りに有効成分をふんだんに含んだ「里芋」、ビタミンCが美肌効果を促し、そのユニークな形状から「見通しが良くなる」などの験担ぎにも登場する「蓮根」などの根菜類。

これらは土から獲れる「陽」の野菜で、一般的には身体を温める効果があると言われています。しかし、牛蒡や大根など、生で頂くと身体を冷やす食材も有るので要注意です。

それぞれの食材の特性を活かし、調理法を工夫して摂り入れれば、いずれの食材も免疫力アップや疲労回復に一役かってくれます。


私のお薦めは、土鍋で作る「筑前煮」。

食材を適当な大きさに切って、どんどん土鍋に投入。シードオイルを回し掛け火を付けて軽く炒めたら、醤油や日本酒などで味付けをして蓋を閉め、噴き上がって来たらザックリ混ぜてそのまま放置。余熱が美味しい魔法を掛けてくれるのです。

仕上げにごま油をひと掛け。椎茸も一緒に入れたら、一石二鳥です。我が家ではこの季節、幾度となく登場する定番メニューです。


鎌倉の建長寺の建立の際に、人足たちの賄いとして出されていた「けんちん汁」。

これから寒さに向かう時期、クズや片栗粉でトロミを付けて頂くと、身体が小春日和の様に温まって、身心ともにリラックス出来る一品です。

たった1℃、されど1℃。身体を温めて免疫力アップ

虫や蛇や蛙など、自然の気温変化の影響をもろに受け、自分で体温調整の出来ない昆虫類や爬虫類達は、早々と温かい土の中に潜り込み、来年春風がその戸を叩くまで冬眠を決め込んでしまいましたが、体温調節の出来る人類は冬眠をする必要が有りません。

一般的に成人の体温の正常値は36.6℃~37.2℃と言われていますが、最近はそれ以下の低体温の方も増えている様です。

体温は1℃下がると40%近くも免疫力が落ち、体温が1℃上がるだけて、その免疫力は5倍以上にもパワーアップするそうです。

晩秋から冬への季節の変わり目。気候も不順で身体が付いていくのも大変ですが、夏の疲れを上手く回復させて、心も身体も免疫力を上げてポカポカと、来たる冬への準備をして参りましょう。

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廸薫 Michikaoru

廸薫 Michikaoru

日本舞踊家
兵庫県神戸市出身。3歳より花柳流日本舞踊の手ほどきを受ける。宝塚音楽学校首席入学。宝塚歌劇団退団後、花柳流師範資格を取得。以来古典に基づく独自の舞踊活動を国内外で行う。平成17年NPO法人日本人のアイデンティティを育む会・紫薫子の会(しくんしのかい)を設立。日本舞踊のみならず、日本伝統文化の啓蒙普及活動をライフワークとして本格的な取組みを始動。日本の心を未来に伝える真の日本女性の創出を目的とする教育、日本国内外問わずレクチャー・デモンストレーション、パフォーマンスを行うと共に企業、老舗旅館にておもてなし研修・講演等も手掛ける等の活動が評価され、平成25年東久邇宮文化褒賞受賞。

「薫桜の記」~日本人よ凛とあれ~外国人になりたがっている君達へ(文芸社)
メルマガ甦れ美しい日本 廸薫の「タカラジェンヌが日本舞踊家になったわけ」連載(平河総合戦略研究所)
月刊日本舞踊 「アフタヌーンティーはいかが」連載(日本舞踊社)
同      「花ごよみ 踊りあらかると」連載(日本舞踊社)

オフィシャルブログ https://ameblo.jp/hanayagi-michikaoru/
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