今さら聞けない、発酵って?【味噌玉のレシピ付き!】

公開日:2019/10/06

食欲の秋がやってきましたね。

外食はもちろん、家の食卓にも様々な旬の食材が並び、食べることが特に楽しくなる季節です。

そんな中、毎日食べても飽きない日本のソウルフードといえば、味噌汁や漬物。二日酔いの朝でも体に優しく食することができますね。

美味しくてヘルシーで日持ちの良いこれらの食べ物は、「発酵食品」です。

発酵食品は、今や多くのテレビや雑誌で特集が組まれており、健康に良いということも浸透してきました。

今回は、意外な発酵食品や、発酵のしくみ、栄養についてなど、発酵について詳しくご紹介していきます!

チョコレートやバニラビーンズも発酵食品!

私たちの身近には、実は思った以上に発酵食品があふれています。

意外に思われるかもしれませんが、チョコレートやバニラビーンズもその一つ。他にも「こんなものが?」という食品がたくさんあるんです。

例えば、朝食の定番、味噌汁・魚の干物・納豆・糠漬。全て発酵の力で美味しくなっている和食のおかずです。

パン派の方でも、パン・チーズ・ヨーグルトにナタデココ・食後の紅茶と、これらは全て発酵によって作られる食品たち。


醤油・みりん・酢で作る和風ドレッシング、使っているのは発酵調味料のみ。

塩の代わりに塩麹、砂糖の代わりに甘酒を使ったり、エスニック料理に使う魚醤、豆板醤、コチュジャンとバラエティ豊富な発酵調味料。

ウーロン茶・日本酒・ビール・ワイン・ウイスキーだって発酵の力がなければ存在しない飲みものです。

発酵は食品だけではなく、その技術が衣料品・医薬品・化粧品・洗剤などにも応用され、私たちの生活と密接な関係にあります。

発酵と発酵食品


「発酵」とは、酵母・カビ・細菌などの微生物の働きによって、食物に含まれるタンパク質・デンプン・糖などが分解され、人間にとって有益な食べ物へと変化することを言います。

そして、元の食物にはない、旨味・有効成分・栄養価が加わり、保存性や消化が良くなったものを「発酵食品」と呼びます。

発酵食品の歴史


発酵食品の歴史は古く、今から4000~5000年程前と言われています。

微生物の働きが知られるはるか昔から食べられてきた発酵食品ですが、最古の発酵食品はワインともヨーグルトとも言われています。

自然界にいる微生物が食材に混入して偶然できた産物が、その土地の気候風土・特産物・民族性・信仰などを反映した独自の食品となっていきました。

先人の試行錯誤と工夫により多種多様な発酵食品が生まれ、今日では伝統的な食文化として各家庭にも存在しています。

微生物(酵母・カビ・細菌)


酵母
酵母(酵母菌)は、食材を分解するときにアルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)を作り、お酒やパンを作るのに欠かせないものです。

カビ
カビが分泌する酵素には、タンパク質や脂肪を分解して独自の匂いや風味を出す、デンプンを糖化する、アンモニアを発生させ柔らかくする、脱水する、などの作用があります。

【発酵に使われる主なカビ】

  • ニホンコウジカビ(コウジカビ)→日本酒・焼酎・味醂・味噌・醤油
  • ショウユコウジカビ→醤油
  • アオカビ→ブルーチーズ・ペニシリン(抗生物質)
  • カワキコウジカビ→かつお節

麹とご飯で作る甘酒は「飲む点滴」と呼ばれ、発酵の力で作られる優れた栄養食品です。マクロビオティックの甘味料としてもよく使われます。

甘酒の記事はこちら
甘酒で夏バテ回避!自家製「飲む点滴」で美肌を手に入れる!!
https://vegewel.com/ja/style/amazake/

細菌
食材を発酵させる細菌には、乳酸菌・納豆菌・酢酸菌などがあります。

発酵食品の特徴


旨味
微生物が食材を分解・合成させるときに、旨味成分であるアミノ酸と独特の匂いを作りだします。

保存性
微生物は食材を分解して自分の栄養にしながら、腐敗菌を抑え増殖していきます。腐敗菌が増えないので、食材の保存性が良くなります。

有効成分
微生物は、発酵過程で生命活動の作用として抗生物質や免疫物質を作り出します。アミノ酸・クエン酸・ビタミン類などの成分を合成し、食材に有効成分が加わります。

栄養価・消化
発酵食品の栄養価が元の食材よりも高いのは、微生物が食材を分解するときに、旨味と風味だけでなく酵素も作り出しているからです。

酵素は、多くの栄養成分を作る働きがあり、それにより発酵食品の栄養価は高くなります。食べ物を分解し消化する役割の酵素が増えることで、食べた時の消化も良くなります。

私たちの食を支え、生活と密接なつながりを持つ発酵とは、具体的にどういったものなのでしょうか?

例えば、お米をコウジカビと酵母を使って発酵させると日本酒になり、その日本酒を酢酸菌で発酵させるとアルコールを分解してお酢になります。

麹菌は日本にしかいない「国菌」と呼ばれるものでカビの仲間です。デンプン質を分解して糖にすることで甘味を、タンパク質や脂肪を分解することで旨味と甘味を生み出します。

発酵と腐敗の違い

発酵と腐敗は、どちらも同じ物質が分解する過程で起こりえます。

発酵菌(善玉菌)が増えると発酵となり、有効成分が増え、栄養価が高く美味しいものを作り出し、免疫力アップにつながります。

腐敗菌(悪玉菌)が増えると腐敗となり、有害物質が増え、アンモニアや硫化水素と言った腐敗臭を出し、最終的には食べられない有害な物を作り出します。肌荒れ・便秘などが起こり免疫力の低下にもつながります。

物質を分解したり再合成していく過程で、ガスや匂いが出たり、アミノ酸やアルコールが生成されたりと、取り付く微生物と環境によって違いが起こります。


私は、毎年2月に友人たちと一緒に味噌を作るのですが、前の年に作った味噌を持ち寄って種味噌にして新しい味噌を仕込みます。

前年に一緒に作った味噌が各家庭の環境や保存状態によって、異なる味・香り・色になっています。

温度や湿度、風通し、家に住みついている菌の影響などがあると実感しています。


同じように、糠床に野菜を漬けるだけで漬物になる「糠漬け」も家庭によって異なるお袋の味があります。

手を入れることで微生物の働きを促し、コンディションの良い生きた糠床は、半永久的に使うことができる家庭の宝と言えますね。


毎日の食事にプラスしたい!風邪予防にもなる簡単レシピをご紹介します。

味噌玉でどこでも味噌汁

【材料(1杯分)】
■味噌 大さじ 1弱

■出汁 小さじ 1/2(お好みの出汁)

  • 昆布パウダー
  • 椎茸パウダー
  • かつお節

■具材 適量(お好みの具)

  • 乾燥わかめ
  • 乾燥あおさ
  • とろろ昆布
  • 切干大根(小さくカット)
  • わけぎ
  • ごま
  • お麩
  • 乾燥野菜※

■無添加ラップ、有害物質の出にくいエコラップなど
■口を止めるもの(輪ゴム・テープ・リボン・ワイヤー)

【作り方】
① ラップの上に、味噌、出汁、具材を乗せる

② 丸めて輪ゴムなどで口を止める

③ お湯を注げば即席お味噌の出来上がり〜

効果

  • 腸内環境を整える
  • 消化を助ける
  • 身体を温める
  • 血流をよくする
  • デトックス効果
  • 免疫力アップ

※乾燥野菜は料理の際に残った少量の野菜を乾燥させておくと便利ですよ!

酒粕、胡麻油、豆板醤、柚子、おろし生姜などお好みで加えてアレンジしてみてくださいね。オフィスで食べるランチのお供や残業食にも!

冷蔵で約3日、冷凍庫で約1ヶ月保存が可能なので、まとめて作っておくといつでも温かい味噌汁を味わえます。

これからの寒くなる季節、腸内環境を整える発酵食を食べて活き活きと乗り切りましょう!

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kiki

kiki

静岡生まれ
元ソロバックパッカー。行きあたりばったりで30ヶ国以上を現地の人のように旅をし、多くの人生経験を積む。野菜全般を口にしない超偏食から食べられることの有り難さを旅を通して学び好き嫌いのない人生へ好転する。鼻を頼りに美味しい物を探すのが得意。
海より山、肉より野菜、撮られるより撮るのが好き。

子どもの頃の夢だった〈幼稚園の先生〉を調理師として〈幼稚園の‘給食’の先生〉となり叶え、大好きな子どもたちの成長を間近で見守っている。
安全・安心はもとより、誰でも楽しく食べられるバリアフリーな給食の提供が目標。
ヨガインストラクター・ライター
夫と子どもの3人暮らし