インタビュー

正しい栄養学こそ「真の医学」 医師 鈴木晴恵さん 〜予防だけではない最善の食事法を追求して〜

「京都にとても美味しいヴィーガンチーズを出すお店がある」と聞いて食べに行き、その完成度の高さに驚いたのが約一年前。

今回Vegewelは、そのカフェ「CHOICE」のオーナーであり、医師でもある鈴木晴恵さんにお話を伺うことができました。


「CHOICE」で提供しているのはおいしいヴィーガン料理。

鈴木さんが最善と考える食事法「*Plant-Based Whole Foodsプラントベースドホールフーズ」に基づいた料理ばかりです。

なぜ医師である鈴木さんがこのようなお店を開いたのでしょうか。

*Plant-Based Whole foodsプラントベースドホールフーズ(以下 *PBWF)

植物由来の自然食。基本的に動物性食品を一切とらない食事法。さらにローフードや発酵食を多く摂取する。未精製(加工度が低い)、オーガニックであることも重要視する。

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あの大事故をきっかけに「ライフワーク」が変わった


鈴木さんは京都の形成外科クリニック院長。レーザー治療をいち早く取り入れて質の高い医療を提供し、それに連携したメディカルエステも併設して、患者さんから厚い信頼を寄せられています。

しかし長い間、食や栄養には無頓着だったそうです。

そんな鈴木さんを変えたのは、2011年の東日本大震災に伴う福島原発の事故でした。

お子さんがいたこともあり、放射能汚染の心配がない食べ物を探し求めるうちに、気づいたそうです。

放射能も心配だが、食と栄養についてもっと深刻な問題がある、と。

自分だけでなく、クリニックのスタッフと一丸となって、食と栄養学の猛勉強をして得た結論が「*Plant-Based Whole Foodsプラントベースドホールフーズ」という食事法でした。

それまで鈴木さんのライフワークは、見た目を綺麗にする外科手術やレーザー治療で患者さんに貢献することでした。

それは今でも大切にしていますが、さらにPBWFを積極的な医療行為として捉え、それを活用し広めることがライフワークへと変わっていったのです。

カフェ開業だけでなく、栄養外来を開設して食事療法の指導、講演会主催、書籍の翻訳など、短期間で実に多彩な活動を展開しています。

「チャイナ・スタディー」が導く答え


鈴木さんが栄養学の勉強をする中で大きな影響を受けたのが、栄養学者T・コリン・キャンベル著「チャイナ・スタディー」。

コーネル大学、オーックスフォード大学が、史上空前の規模で行った中国農村部の疫学調査(食習慣・栄養)と25年にわたる実験室での研究データを発表したレポートで、全米の医学界・栄養学界・製薬業界を震撼させた、歓迎されざる大ベストセラー…なのだそうです。

その主旨は「正しい食事は病気を予防するだけでなく、治すこともできる」というもの。

本書によると、動物性たんぱく質と生活習慣病、特にがんとの関連性について明確に調査結果が出ており、この調査研究プロジェクトのリーダーであるT・コリン・キャンベル氏は「PBWFの食事法が健康にとって一番良い」と主張しています。

この調査結果については、そのメカニズムが完全に解明されたわけではないので、科学的な根拠が薄いという医師もいます。

しかしメカニズムはわからなくても動物実験では明らか。そのように、研究者の間でも賛否両論いろいろあって、まだ結論が出ていません。

しかし結論が出ていないからこそ、PBWFを試してみたいと思う方は多いでしょう。それはいったいどんな料理なのでしょうか。

「CHOICEチョイス」 生きるための選択


PBWFの見本は京都「CHOICE」にあります。

店名には

「私が選んだ食事法を提供する」
「食材・調理法を厳選する」
「私たちに共感したお客様に選んでいただく」

という意味が込められています。

「先生のお考えはわかりました。でも実際何を食べたらいいかわかりません」。鈴木さんは、患者さんからそのように言われたことがあるそうです。

そこで食事のお手本を示すためにCHOICEをオープンしました。

患者さんだけでなく、健康や食に意識の高いお客様、外国からの観光客も増えています。


特に看板商品の「チョイスフロマージュ」は、普通のチーズと変わらない濃厚な食感と発酵の豊かな風味で大人気です。

欧米ではチーズもどきの商品がたくさんありますが、本当に発酵の過程を経ているものは少ない。

鈴木さんが、発酵ヴィーガンチーズの製法をスタッフと一緒にアメリカまで学びに行って、さらに工夫を凝らした会心作が「チョイスフロマージュ」なのです。

フレーバーは4種類、 CHOICEのホームページから購入できます。

CHOICE: http://choice-hs.net/

積極的な医療行為としてのPBWF

PBWFへの、鈴木さんの確信をさらに深めたのは「チャイナ・スタディー」にも登場するアメリカの医師、ジョン・マクドゥーガル氏です。

マクドゥーガル氏は、薬を使わず PBWFでの治療を実践していますが、彼の患者になるにはリブインプログラム(10日間くらいの合宿)に参加しなくてはなりません。

それは40〜50人が毎食 PBWFを食べ、食と栄養に関する講義やクッキングデモを受け、一緒に運動するなどの授業を受けるプログラム。

全米から肥満・高血圧・糖尿病・がん・自己免疫疾患などの患者が集まり、プログラムの間にも症状の緩和・改善が見られるそうで、マクドゥーガル氏はまさに積極的な医療行為としての食事療法を実践しているのです。

鈴木さんも2011年にプログラムに参加しました。

「チャイナ・スタディー」でPBWFに納得しても、まだ迷いがあったという鈴木さん。

著書の中で「子供の頃から洗脳されてきた牛乳神話や、良い筋肉を作るためには動物性たんぱく質をたくさん摂らなければならないという思い込みを完全に拭い去ることはできずにいました」と書いています。

しかし、このプログラム修了後は全く迷いがなくなったそうです。

低炭水化物ダイエット(糖質制限)への警鐘


鈴木さんは最近、ある翻訳本を出版しました。

「チャイナ・スタディー」著者でもあるT・コリン・キャンベル博士の「低炭水化物ダイエットへの警鐘」という本です。

近年流行している低炭水化物ダイエットについて、鈴木さんは以前から疑問を持っていたそうです。

特に *「パレオ・ダイエット」のように、糖質を制限する代わりに非常に多くの動物性食品を摂る食事法の矛盾と危険性について、この本は明らかにしています。

低炭水化物ダイエットは確かに短期間で減量できますが、維持が難しい上、この方法を長期間続けることは、減量のメリットをはるかに超えるデメリットがあるということを、研究データに基づいて説明しています。

*パレオ・ダイエット

パレオとは英語でPaleolithic Eraの略語で、旧石器時代のこと。旧石器時代の野生動物と野草中心の食事が人間本来の食事というコンセプト。

魚介類、鳥類、小動物、昆虫、卵、野菜、キノコなどの菌類、根菜、ナッツ類などが中心。旧石器時代には自然界から容易に入手できなかった食物(穀物、豆類、乳製品、芋類、食塩、砂糖、加工油)は原則的に避ける。

世界に広がるPBWF


アメリカでは、毎年カリフォルニアで「植物性食品による国際医療会議」という学会が開かれています。

それは薬に頼らずPBWFの食事法によって病気を予防・治療しようとする医師や医療関係者の集まりです。

日本で、薬に頼らず食事療法で病気の治療を試みるなどと医師が言ったら、正気を疑われるかもしれません。

保険制度の違いもありますが(アメリカでは経済的理由で健康保険に入れず、高価な薬を使えない人も多い)、アメリカではこの学会は年々勢いを増しています。

2017年は参加者が900名となり、日本の医療関係者も20名以上参加したそうで、鈴木さんも毎年参加して研究を重ねています。

近代西洋医学と食事療法などの代替医療は、そのどちらかを選ぶ必要はあるのでしょうか。どちらも必要なのだと思います。

インターネットが普及し、誰もが最新の医学・健康情報をやりとりし、多様な選択をできる現代、患者中心の統合医療がもっと一般的になる日はそう遠くないような気がします。

患者さんのために挑戦し続ける


今回の取材で意外だったのは、鈴木さんの栄養外来には、日常的にたくさんの患者さんがくるわけではないということ。病気になった時、真っ先に栄養カウンセリングに駆け込む人は、やはりまだまだ少数派です。

他の医療機関で何をやっても良くならなかった重症な患者さんだけが、最後の頼みの綱として鈴木さんのもとを訪れるのです。

鈴木さんは去年、フロリダの「ヒポクラテス・ヘルス・インスティテュート」という滞在型の療養施設を訪問しました。

ここではPBWFを治療に取り入れていて、「Doctor Day ドクターデイズ」という、医師に施設を紹介する5日間のイベントに参加しました。

医療施設も併設されていて、複数の医師が診療しています。そこで多くの重症の病人が元気になっていかれるのを目の当たりにしたそうです。

そして今年は、プエルトリコの「アン・ウィグモア・インスティテュート」で研修する予定です。

リビングフード(ローフード)の母と呼ばれるアン・ウィグモア(故人)が設立したこの施設では、やはり重症の病人が滞在し、 PBWFを実践して心身を癒やしていくそうです。

原則2週間の滞在プログラムですが、鈴木さんは1週間クリニックを休業して参加します。

ここでもきっと素晴らしい発見と成果を手にして今後の治療に生かし、私たちに気づきを与えてくれることでしょう。

鈴木さんが発信する情報に、これからも注目していきたいと思います。

ありがとうございました。


【鈴木晴恵さん プロフィール】

鈴木形成外科院長、カフェ「CHOICE」オーナー。京都市出身。

3・11を機に「食」と真剣に向き合い、栄養学を突き詰めた結果、最善の食事法は「Plant-Based Whole Foods プラントベースドホールフーズ」と気づく。

クリニックに栄養外来を立ち上げ、食の手本を示すためカフェ「CHOICE」開業。遅延型アレルギー検査や、メタトロン(波動療法)なども取り入れ、全人的な治療を目指す。

鈴木形成外科:http://haruesuzuki.com/

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HANA

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KIJ(クシインスティチュート オブ ジャパン) 公認マクロビオティック インストラクター、栄養士。
料理教室「Rainbow Kitchen 六本木」主宰。

1965年札幌生まれ。
自然と本物の食をこよなく愛す。
30歳の時に突然アレルギー発症して以来、マクロビオティックで心身の調整法を学ぶ。

レッスンは紹介制・単発制・デモンストレーション形式。
料理をしない方、野菜嫌いの方、男性の参加者にも好評。

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