インタビュー

〜どう食べるかはどう生きるか〜 生き方としてのマクロビオティックを伝える大森一慧先生

マクロビオティック」というライフスタイルをご存知でしょうか?

マクロビオティックとは穀物菜食の食生活を中心に自然を大切にし、環境や季節と調和して健康を維持していくライフスタイルです。

マドンナやトム・クルーズといったセレブリティが取り入れて有名になったため、外国からきたものと誤解されることがありますが、実は日本の伝統食や伝統的な生活法を見直して日本人が体系化したものです。

今回は、半世紀以上にわたってマクロビオティックを指導してきた大森一慧先生にお話を伺いました。

ライター:岸田華恵  KIJ( Kushi Institute of Japan)公認マクロビオティックインストラクター、栄養士。料理教室主宰。

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プロフィール

大森一慧
1933年生まれの84歳。料理研究家、栄養士。穀物菜食の料理学校「一慧のクッキング」を開校し、「からだの自然治癒力をひきだす食事と手当て」などいくつものベストセラーを執筆している。

食養医学家であった夫・大森英櫻氏(故人)と無双原理(陰陽論)に基づいた食事と手当法を実践、指導してきた。

*無双原理(陰陽論)…宇宙万物は陰陽より成るという世界観。東洋医学の基礎となる考え方。食べ物にも陰陽があり、健康のためにはどちらにも偏らず中庸を保つことが重要だと考える。

生きる力を引き出す


初めてお目にかかる大森一慧先生(以下 一慧先生)は機敏でよく笑うチャーミングな女性でした。

先生は半世紀以上、穀物菜食と理論を指導されてきたわけですが、今世の中に伝えたいこと、特にこれから出産育児する女性に伝えたいことはありますか?

「人間の自己治癒力をもっと信じて、それを引き出す食事とライフスタイルを学んでほしいと思います。家族一人一人の心身の状態をしっかり観察して、環境・季節・気温や本人の体質・体調を考慮に入れた食事を作ること。ですね」

基本をおろそかにして、すぐに病院や薬に頼ると、ますます人間本来の自己治癒力や生きる力が弱くなってしまうと先生は心配します。

一慧先生は 6人のお子さんを完全な穀物菜食で育てました。病院に連れていったことは一度もなく、予防接種も一切受けさせなかったというから驚きです。

でも全員が健康に立派に成長しました。先生ご自身も最近になって骨密度を測ったら大変良い結果で、乳製品も魚も摂っていないのに、と医師に驚かれたそうです。

長年の穀物菜食で自己治癒力が桁違いに強いのかもしれません。

「薬は確かに効果があるけれど、一時的なものでしょう?それで症状が消えたら治ったと思って、そこで安心して体質改善の努力をしなくなる。それが心配なの。時間がかかっても自然な食べ物、心のこもった料理で真に健康になって欲しい。

そういうマクロビオティックの考え方は、現代の効率重視や科学至上主義とは相容れないものかもしれない。でも身体の健康だけじゃなく、心というか、人間特有の愛や慈しみや感謝の念はそういう割り切れないところから育つものでしょう」

将来を担う子供達の中に愛・慈しみの心・感謝の念が育つことが一慧先生の願いです。確かに健康で幸福だったら他人にも優しくなれます。個人の平和が家庭や社会の平和に繋がるのかもしれません。

大きな夢を持ちなさい


一慧先生は夫の大森英櫻氏(故人)と共に大勢の病人を回復へと導いてきました。標準医療では健康を取り戻せなかった人々が、静岡県の夫妻の自宅に長期滞在し、新しい生き方と食べ方を学んで元気になっていったのです。

しかし、それを続けられなくて、また体をこわす人もいたようです。

「みんな病気を治したい、健康になりたいって言うけれど、病気や不調は自身の偏りを教えてくれているものだから、そこに気づいて新しい生き方をする決意をしないと。

受け身で指導を受けて健康を取り戻しても、一時的な回復で終わっちゃう。だから、まずは大きな夢を持って欲しいの。

自分の人生をもっと大きく描いて欲しい。我欲じゃなくて、健康になってもっと社会のために自分を役立てたいとか、大きな夢を持たないと努力は続けられないの」

「なんのために健康でいたいのか」は「どう生きたいのか」につながるのですね。

簡単に答えが出る問題ではありませんが、先生は言います。

「正しい食べ方をするとわかってきます。正しい食べ方をすると正しい判断、選択ができるようになる。もともと人間はそういうセンサーを持っているはずです」

しかし、それほどまでに食が心や人生に関わってくるものとは、一般的に考えられていないでしょう。マクロビオティックが理解されにくいのは、その辺りに理由があるのかもしれません。

また健康法としてもマクロビオティックは科学的根拠に乏しいとみなされていました。

しかし、最近ハーバード大学医学部が発表した「ヘルシーフードピラミッド」にはほぼ合致しています。何世代にもわたって民族が食べてきた伝統食は、やはり理にかなっているものなのでしょう。

*ヘルシーフードピラミッド…ハーバード大学医学部 公衆衛生大学院での疫学研究に基づいた食生活指針。産業界の影響を受けずに研究成果を反映している点で画期的。

本物はおいしい


とはいえ、食事は美味しくなければ続きません。

この日は一慧先生手作りの料理をごちそうになるという貴重な機会に恵まれました。メニューは粟入り玄米ご飯、けんちん汁、蒲焼もどき、焼きなます。

とにかくおいしくて何度もおかわりしてしまいました。

良質な素材と伝統製法の調味料で丁寧に作ると、シンプルな料理が非常に奥深い味わいになるのですね。夏バテしてだるかった体も急に軽くなりました。

穀物菜食は写真映えする料理ではないかもしれませんが、これこそが真の贅沢だと思いました。

また、マクロビオティック=厳しい食事制限と認識される方がいますが、それは病人のための食箋料理(短期間の制限食)を指しているものと思われます。基本食(日常の食事)は日本の伝統食、普通の家庭料理です。

「万人に共通する正しい食事なんてありません。その人の状況や体質に応じて変えていかないと」と先生は言います。意外とマクロビオティックは柔軟なのです。

温かい笑顔と心身が満たされる食事。謙虚でしなやかな生き方。一慧先生の元に大勢の人が集まる理由がよくわかりました。先生にまた会いたい!と理屈抜きに思うのです。

一慧先生、ありがとうございました。

カメラマン:河﨑公一

大森一慧先生が講師を務める料理教室のお知らせ


「2017年秋 穀菜食講座」
【水曜日クラス】
10:30~16:30 10月4日、11月1日 会費 税込8,640円

【日曜日クラス】
10:30~16:30 10月22日、11月12日、12月17日 会費 税込8,640円

【おせち料理教室】
10:30~16:30  12月6日〜7日 二日間で税込27,000円

【お問い合わせ先】
こくさいや
電話番号:03-3925-0914
FAX番号:03-3925-0948
Email:kokusai@hyper.ocn.ne.jp
http://www.kokusaiya.com/

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HANA

HANA

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KIJ(クシインスティチュート オブ ジャパン) 公認マクロビオティック インストラクター、栄養士。
料理教室「Rainbow Kitchen 六本木」主宰。

1965年札幌生まれ。
自然と本物の食をこよなく愛す。
30歳の時に突然アレルギー発症して以来、マクロビオティックで心身の調整法を学ぶ。

レッスンは紹介制・単発制・デモンストレーション形式。
料理をしない方、野菜嫌いの方、男性の参加者にも好評。

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