ヘルシーな知識

雪に埋めれば甘み倍増、偶然から生まれた越冬キャベツ(北海道)

越冬(えっとう)キャベツは、北海道上川郡和寒町が発祥のキャベツです。晩秋に収穫されたキャベツをそのまま雪の中に置いて保存するという、雪国ならではの貯蔵方法が特徴です。

富良野など北海道の別の地域や、道外だと長野県などでも同じ貯蔵方法のキャベツが生産されています。名称は、「雪の下キャベツ」「雪下キャベツ」「雪中キャベツ」など各地で様々。

越冬キャベツの特徴


雪国では冬は土が雪に覆われ、野菜の生産をすることができません。しかし、越冬キャベツのような方法で野菜を保存しておけば、野菜を生産できない冬でも野菜を食べることができます。

しかも、越冬キャベツを保存する雪の中の温度は0℃前後。当然湿度も程よく、実はキャベツを保存するのにとても適した環境なのです。また、0℃前後の寒さの中だと、キャベツは自分の身が凍結するのを防ぐために糖度を高め、細胞を守ります。このため、越冬キャベツは新鮮さが保たれている上に、普通のキャベツより甘味があり美味しいのです。

越冬キャベツには二度の重要な作業があります。雪が積もる直前に行う「根切り作業」、そして1月~3月、雪の中深くで保存していたキャベツを掘り出す「収穫作業」です。特に、極寒の中、雪深く埋められたキャベツを掘り出す収穫作業は、かなりの重労働。新鮮で甘く美味しい越冬キャベツですが、他では味わえないその美味しさの分、手間や労力も多くなる、ということですね。

ちなみに、キャベツに多く含まれる栄養素は、「ビタミンC」と「ビタミンU」。ビタミンCは皆さんも良く知っている通り、美肌効果、免疫力の向上が期待できます。コラーゲンの吸収を助ける作用もありますね。

ビタミンUは、あまり聞きなれない成分かもしれませんが、胃酸の量を調節して胃のトラブルを防ぎ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防にもなると言われています。キャベツのしぼり汁から発見されたビタミンなので、別名「キャベジン」とも言われています。胃薬で「キャベジン」という名前の商品がありますが、これはビタミンUの別名をそのまま名称に使っていたんですね。

また、キャベツは身体を冷やす効果があると言われており、民間療法では熱中症や火傷の時に使うこともあるようです。冷え性の方は、生での食べ過ぎに気をつけると良いかもしれませんね。

越冬キャベツの歴史

和寒町の越冬キャベツは、実は偶然の発見から生まれました。

昭和43年の冬、秋キャベツが豊作だったためキャベツの市場価値が下がり、価格が暴落してしまいます。これにより、生産した全てのキャベツを出荷することが困難になり、出荷できなかったキャベツは畑に放置されました。

翌年、春になり雪がとけた畑を見ると、何と放置していたはずのキャベツが青々と新鮮な状態で残っていたのです。しかも食べてみると甘く美味しい!これを市場に出してみたところ、良い値で取引きされたため、そこから「越冬キャベツ」のブランド化が始まっていきました。

ちなみに、この「越冬キャベツ」という名称は、平成22年2月に「和寒越冬キャベツ」として特許庁に商標登録されており、和寒町のブランドキャベツとして町をあげてPRされています。

キャベツ以外もたくさん!「越冬野菜」


和寒町のブランド「越冬キャベツ」以外にも、同様の方法で生産された野菜は全国に多く存在しています。

北海道だと、函館の「雪の下大根」が有名です。 函館市亀田地区で生産されている大根で、秋に収穫した大根に土をかぶせておき、雪が積もった真冬に掘り出して出荷します。越冬キャベツ同様、味はかなり甘く、水分もぎゅっとつまっておりシャキシャキの歯ごたえ。辛い大根が苦手な方でも美味しくいただけますよ。

その他、北海道外でも長野県や山形県などの積雪地帯で「越冬野菜」と呼ばれるものが生産されています。その種類はニンジン、ゴボウ、白菜など様々です。

ちなみに、果物だと「雪室(ゆきむろ)りんご」が有名です。「雪室(ゆきむろ)」と呼ばれる雪で作った天然の冷蔵庫を使って貯蔵されたりんごは、とても甘くみずみずしくなり、非常に人気があります。

越冬キャベツの美味しい食べ方

越冬キャベツは、何といってもその甘みを楽しめる食べ方がおすすめ。生でそのまま食べても歯ごたえ良く美味しくいただけますし、ポトフやみそ汁の具にしてもその甘味をじっくり味わえます。

また、カレーに入れるのもおすすめです。スパイシーなカレーに独特の甘みが加わり、新たな味が楽しめること間違いなしです。

ちなみに、キャベツにはビタミンCやビタミンUが多く含まれていますが、どちらも水溶性。汁ものやカレーにして食べることで、水分に流れ出たビタミンを効率よく摂取することができます。ただし、ビタミンCは熱に弱いため、特に多く摂りたい場合は生でさっと洗って食べるのが良いでしょう。

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奥田彩(Aya Okuda)

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フードコーディネーター
食育インストラクター
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フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。

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